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凍上液体抑制剤

冬期土工の力強いパートナー:冬期土工用凍結防止『ビバメルト』

はじめに

北海道のような寒冷地における冬期土工作業は地盤凍結の問題があるため、夏期施工に比較し種々の問題点が指摘されております。すなわち作業効率の低下、施工費用の増大、施工品質の低下、補修工事の発生、騒音振動などによる周辺地域への影響等であります。しかしながら、この様な冬期土工の種々の問題点に対する有効な手段はいまだ取られていないのが現状であります。
冬期土工用凍結防止剤『ビバメルト』はこの様な冬期土工の問題点を解消するために開発された画期的製品であります。すなわち、冬期土工用凍結防止剤『ビバメルト』は、凍土を融解、或いは地盤の凍結を防止すること等により、冬期の掘削、埋め戻し等の土工作業を容易にするものであります。

特徴

凍土融解

『ビバメルト』は高い融氷能力を有し、凍土への浸透性に優れていることから、凍土へ散布或いは注入することで凍土を融解して、土工作業を容易にいたします。

地盤の凍結防止

『ビバメルト』は凍結防止効果、及び地盤への浸透性に優れることから、未凍結地盤に散布或いは混合する事で、地盤の凍結を防止します。

高い効果持続性

『ビバメルト』により融解された地盤や、凍結前にあらかじめ『ビバメルト』が散布された地盤等での凍結防止効果の持続性は非常に優れております。例えば新たな降雪などを防止すれば、効果は1シーズン程度持続いたします。

再凍結地盤の脆弱化

新たな降雪等により『ビバメルト』が希釈され地盤が再凍結したとしても、『ビバメルト』を含有する凍土は通常の凍土より強度が低下するため、凍土は脆弱化され、やはり土工作業が容易になります。

環境にやさしい

『ビバメルト』は成分中に塩素化合物を含まず、生分解性の良い成分を使用しておりますので、構造物や自然環境への薬害の心配は特に必要ありません。

ビバメルトの性状

主成分/酢酸カリウム、グリセリン、水
性状/状態:液体、比重:1.26、凝固点:-75℃(原液での最低凝固点)

【各種凍結防止剤の濃度と凝固点の関係】 【各種凍結防止剤の濃度と凝固点の関係

用途

用途 従来方法 「ビバメルト」を用いた方法
凍土掘削 ◆ブレーカー等により凍土を破砕するため、以下の問題点がある。
図1
1.作業効率の低下
2.騒音、振動の発生
3.安全対策が必要
4.掘削残土の処分が必要
◆ビバメルトの散布或いは注入により凍土を融解してバックホー等により掘削を行う。
◆凍結前の地盤にビバメルトを散布或いは注入することにより地盤の凍結を防止して、バックホー等により掘削を行う。
1.作業効率アップ
2.騒音、振動が発生しない
3.安全である
4.掘削残土を埋め戻しにも使用できる
凍土の埋め戻し ◆凍土をそのまま埋め戻し後、構造物など敷設 。
図2
1.締め固めが不十分となる
2.構造物等敷設後に凍土が融解する
◆凍土埋め戻しの際にビバメルトを混合して締め固めを行う。
図3
1.凍土の一部或いは全体が融解されるため十分な締め固めを行うことができる。
2.構造物等敷設後の凍土融解の影響が少ない
未凍土土砂による埋め戻し ◆埋め戻し土砂が凍結、凍上した状態で更に上層を埋め戻しを行う。
図4
1.地盤の自重による締め固めが不十分
2.凍上分が融解して地盤沈下
◆埋め戻し土砂にビバメルトを散布して、凍結、凍上を防止する。
図5
1.填圧と自重により十分な締め固めがされる
2.凍上がないため地盤沈下の心配がない
 

効果

【1】凍土融解と凍土掘削〜凍結防止剤の散布、注入
図6
 
【2】凍土融解と凍土掘削〜バックホーによる掘削
図7
 
【3】再凍結地盤の脆弱性

地盤に浸透したビバメルトの凍結防止効果は優れた持続性を示しますが、新たな降雪等によりビバメルトが希釈されると地盤は再凍結いたします。しかしながら、ビバメルトを含有する凍土は通常の凍土より強度が低下するため、脆弱化した凍土となり、土工作業はやはり容易になります。
以下のグラフは室内試験での試験結果です。砂質土及び火山灰土のいずれにおいても、通常の凍土(凍結防止剤の含有されていない凍土)に比較し、凍結防止剤が含有された凍土では圧縮強度が低く、その含有量の増加に伴って強度が低下していることがわかります。

図8   図9
■図-1 砂質土の土全体量に対する凍結防止剤の割合と強度   ■図-2 火山灰土の土全体量に対する凍結防止剤の割合と強度
 
【4】ビバメルトを用いた凍土の埋め戻し

破砕された凍土に凍結防止剤を混合して、所定時間放置後に締め固めを行うと、未凍結地盤を締め固めた時とほぼ同等の密度が得られます。
下記のグラフは実験室規模での試験結果でありますが、凍結防止剤の量を増すことで、凍結前密度(未凍結地盤で締め固めた時の密度)に近い値が得られております。
■右図/凍結防止剤の含有量と凍土の締め固め後の密度

  図10
 

ビバメルトの使用方法

【1】凍土凍結と凍土掘削

(1)凍土融解する場所に積雪がある場合は、除雪を行って下さい。
(2)ビバメルトの浸透しやすい地盤(比較的締め固まっていない地盤等)の場合は、所定の散布量となるように散布面積を適当に区切りながら、ジョウロ等を用いてビバメルトを散布して下さい。
(3)散布の目安は凍土厚が50〜60cm程度で15L/m2です。
(4)ビバメルトの浸透し難い地盤(比較的締め固まった地盤等)の場合は、注入孔を形成して、所定量のビバメルトを注入して下さい。散布量の目安は上記と同様です。
(5)注入孔は削岩機あるいは小型のブレーカー等を用いて以下の条件を参考に作成して下さい。
孔径:30〜50mmφ/ピッチ:200〜300mm/深さ:200mm程度
(6)ビバメルトが全量浸透してから1日〜2日程度放置した後、掘削等の土工を実施して下さい。尚、ビバメルトが浸透するのに要する時間は土質等の状況により異なります。

【2】地盤の凍結防止

(1)凍結を防止したい場所に、所定の散布量となるように散布面積を適当に区切りながら、ジョウロ等を用いてビバメルトを散布して下さい。
(2)土砂を埋め戻した後に散布するケースでは、埋め戻し後必要に応じて填圧してから散布を実施して下さい。
(3)散布の目安は、厚さ50〜60cmの地盤の凍結を防ぐ場合で、約15L/m2程度です。
(4)新たな雪氷の混入で効果が低下するのを防止するために、散布場所を土砂(厚さ10cm程度)あるいはシート等で覆って下さい。このような処置を行えば効果は1シーズン程度持続します。
上記は使用方法の目安であり、土質、凍土の状態等により変化いたします。

 

ビバメルトの使用上の注意

(1)本製品を万一、口や目に入れた場合には直ちに水ですすぎ、必要に応じて医師の診断を受けて下さい。
(2)屋外の凍結防止の目的以外には使用しないで下さい。
(3)積雪がある場合は、除雪後散布して下さい。
(4)アスファルト、簡易コンクリート等の亀裂がある場合は、融水の再凍結によって亀裂が大きくなることがあります。
(5)使用後は蓋をしっかり閉めて子供も手の届かない場所に保管して下さい。
(6)皮膚や衣服に付着した場合は、水で流して下さい。尚、散布の際は念のため、ゴム手袋や長靴をご着用下さい。

 

ビバメルトの安全性について

『ビバメルト』の試験結果一覧

試験名 試験依頼先   結果 判定基準
急性経口毒性試験 (株)薬物安全試験センター
埼玉研究所
被試験体/
ラット
LD50 2000mg/kg以上
無毒な物
Hodge「致死量と毒性区分評価法」による
魚類急性毒性試験 (財)日本食品分析センター
大坂支所
被試験体/
ヒメダカ
LC50 9300mg/L 工場排水試験法による
眼粘膜刺激性試験 (株)薬物安全試験センター
埼玉研究所
被試験体/
ウサギ
最小の刺激
(クラス3)
KAY&CALANDRAの眼刺激試験評価基準による
ヒト皮膚に対する
パッチテスト
(社)日本毛髪科学協会 被試験体/
ヒト
陰性(全く無反応)  
有害物質試験 北海道立衛生研究所   有機水銀、総水銀、カドミウム、鉛、六価クロム、砒素、シアン有機リン:
検出せず
 
金属腐食性試験 北海道立工業試験場

水道水/12.3
蒸留水/9.1
塩/19.2
塩カル/23.6
ビバメイト/0.2
Mdd:mg/(dm)2・Day

 
マーシャル安定度試験
アスファルトコンクリートに対する影響
日本油脂(株) 試供体
密粒度アスコン
φ10×6cm

水道水/913.4
塩化カルシウム/1002.8
ビバメイト/1028.1
(破壊最大荷重/単位:Kgf)

アスファルト舗装要綱によるマーシャル試験に対する基準値500以上
コンクリートへの影響試験(圧縮強度)
25ヶ月間浸漬
日本油脂(株) 試供体
φ10×20cm

水道水/353
塩カル/試供体崩壊により測定不能
ビバメイト/355
(圧縮強度:Kgf/cm2)

水道水と強度が変わらないこと

LD50:ある一群の動物に一定の条件で有害物質を与えたとき半数が死亡する有害物質の量(半数致死量)
LC50:ある一群の動物に一定の条件で有害物質を与えたとき半数が死亡する有害物質の量(半数致死濃度)
Mdd:鉄板腐食速度

酢酸系凍結防止剤の安全性について

はじめに

凍結防止剤、融雪剤として広く使用されている塩化物系凍結防止剤は、塩素成分を含んでいることより、環境問題が懸念されております。特に欧米諸国では凍結防止剤の散布量が日本と比較して非常に多く、塩害が大きな問題となっております。
アメリカでは1970年台半ばから運輸省と連邦道路局は、酢酸カルシウム・マグネシウム(CMA)に着目し、その性能、及び環境面等を評価する計画を立て、現在も実施中であります。CMAは、固体ですが空港向けには液状タイプである酢酸カリウム溶液の使用も開始されております。ただし、塩化物系に比較してコストが高い為、比較的使用量の少ないワシントン州等は塩化物から切り替えようとしておりますが、凍結防止剤の使用量の多い州などでは、環境に敏感な地域、重要な構造物がある区域に限定して使用しております。
国内の道路は、塩化物系が大半ですが、環境問題や低金属腐食性を重要視する空港では、尿素から酢酸系に切り替えを進めています。
北海道日本油脂(株)、ダイセル化学工業(株)、米山化学工業(株)の3社が酢酸系凍結防止剤を製造販売している代表的なメーカーであり、皆様に提供しております。弊社の販売する「カマグ」、「ビバメルト」は、前述の酢酸カリウム水溶液を凍結防止剤としての性能を向上する為に、グリセリンを添加しております。(特開平06-212147)
本資料では、主成分である酢酸カリウム、添加剤であるグリセリンの安全性について、わかりやすくご説明するものであります。

酢酸カリウム

酢酸カリウムは、酢酸とカリウムからなる固体物質ですが、酢酸は食酢に代表されるように、すっぱい味と臭いのするもので、人体、及び環境に無害な物質です。また、カリウムは土中にも多く含まれる物質で植物の肥料3要素(窒素、燐酸、カリウム)のうちの一つであります。 酢酸カリウム自体も、水溶液にして「低カリウム血症」の方の人体にカリウムを補給する目的の医療用薬剤にも使用されております。この様に、酢酸カリウム及びそれらを構成する成分も全く無害な物質ですが、酢酸カリウムは、さらに自然界においては微生物により最終的には炭酸ガス水、カリウムに分解されてしまいます。

グリセリン

グリセリンとはアルコールの一種で、体内の酵素により砂糖と同じように分解されていきます。ヤシ油やパーム油などの油脂のけん化分解で得られ、今日では医薬品や食品、化粧品に欠かせない素材となっています。
透明のとろりとした液体で、肌を軟らかくし、しっとりとした潤いを与える効果があり、保湿剤として、また皮膚に対する柔軟剤として使用されています。また医薬品としては目薬や薬品の溶剤軟膏基材として使用されています。グリセリンも自然界の微生物により、炭酸ガスと水に分解されます。

最後に

「カマグ」、「ビバメルト」は、安全な物質から構成される液状凍結防止剤であり、冬季路面への散布、凍土溶解、及び盛土の凍結防止等に使用して、周辺環境に混入されることがありましても植物、水中生物及び人体への影響はありません。
また、主成分が他の物質の化学反応を起こして有害物質にならないことは、すでに一般製品で安全に使用されていることからもご理解頂けると思います。

「カマグ」、「ビバメルト」成分と一般物質の特性値比較
物質の特定
和名 酢酸カリウム グリセリン エタノール 塩化ナトリウム
分子式 CH3COOK HOCH2CH(OH)CH2OH C2H5OH NaCl
分子量 98.15 92.09 46.07 58.44
物性
比重 (20/4℃) 1.57 1.26 0.79 2.17
毒性
刺激性 ウサギ皮膚 記載なし 500mg/24hr mild 400mg/open mild 50mg/24hr mild
ウサギ眼 記載なし 500mg/24hr mild 500mg/24hr mild 100mg/24hr moderate
急性毒性 ラット経口
LD50:mg/kg
3,250 12,600 7,060 3,000
マウス経口
LD50:mg/kg
記載なし 4,090 3,450 4,000
環境影響 記載なし 分解性良好 分解性良好 記載なし
(出展:社団法人 化学情報協会提供CAS登録データベースより)

■補足説明
資料中に経口毒性、急性毒性等のデーターが数値で表現されておりますが、この値が示す毒性はどの程度か判り難いと思います。
環境省の環境保険部のHPに記載されている資料では、毒性が問題となる数値は、数〜数十mgであって、数百mgや数千mgの物質は殆ど問題無いレベルとされています。実際、毒性試験を実施する試験室等では、数百mg単位のサンプルを実際の試験体(ウサギ、水生生物等)に与えるのではなく、試験方法等で決められた50%死亡確率を推定する方法や、または最大値(これ以上は試験で実施できない)を試験結果とするようです。

凍上抑制剤「ビバメルト」価格表(外税)・・2018年度

凍上抑制剤「ビバメルト」(グリセリン入り1L単価−現地着値段)

荷姿 出荷量 単位 ゼネコン価格 設計単価 定価
エコタンク(道内) 1000 リットル 349 381 424
ドラム缶(道東) 200 リットル 383 420 467
ポリ容器(道内) 18 リットル 398 436 485

《特記事項》
ロ−リ−単価は現場にタンクを用意してください。
ドラム単価は現場でドラム缶を処分してください。
ポリタンク単価は現場でポリ缶を処分してください。

凍上抑制剤「カマグG」価格表(外税)・・2018年度

凍上抑制剤「ビバメルト」(グリセリン入り1L単価−現地着値段)

<
荷姿 出荷量 単位 ゼネコン価格 設計単価 定価
エコタンク(道内) 1000 リットル 354 387 430
ドラム缶(道東) 200 リットル 388 425 473
ポリ容器(道内) 18 リットル 400 438 487

《特記事項》
ロ−リ−単価は現場にタンクを用意してください。
ドラム単価は現場でドラム缶を処分してください。
ポリタンク単価は現場でポリ缶を処分してください。

 
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